キミの風を感じて
「どーして俺が転校するだなんて思ったの?」
で、当然ながらそう訊かれた。
「だって……ボタンくれたし」
「さっきのボタン? ……渡したっけか?」
などと加島くんはつぶやいた。
ハァ……覚えていないようなことだったのか。
「あんときは俺、激しく動揺してたから覚えてねーや」
加島くんがポツッと言った。
「動揺?」
今度はわたしが彼の顔をのぞき込む。
「思わず君を抱きしめちゃって……でも立木さん、逃げずにいてくれただろ? ギュッと背中に手をまわしてくれた」
「うん……」
「あれがスゲー可愛くて、スゲーうれしくてヤバかった」
「ホントに?」
「うれしすぎて、死んだかと思ったし」
ハハッて照れくさそうに笑うから、胸がキュンってする。