キミの風を感じて

そう言ってから、彼はこっちに向いてた体を前に戻して、窓の外に目をやった。


最上階のこの窓から見える冬空は、青く、よく晴れている。


遥かな空に飛行機雲がスーッと一本伸びていく。


映画館でスクリーンを観るように、わたしたちは並んで座って、窓の外を眺めていた。




「体育祭が終わってもそれっきりにしたくなくて、あの日君に告白したんだ」


「うん……」


「OKもらって、100のタイムも更新できて、今が人生のピークじゃねーかってほどに充実していた」


そう言いながら加島くんは鼻の頭をポリッと掻いた。




「OKしてくれたから、君は俺のことイヤじゃないんだと思ってはいたけれど、まさかそんなふうに想ってくれているなんて全然知らなくて、

自分としては、まだ片想いの延長線上にいるような気持ちでいたんだ。


< 355 / 375 >

この作品をシェア

pagetop