キミの風を感じて
そう言ってから、彼はこっちに向いてた体を前に戻して、窓の外に目をやった。
最上階のこの窓から見える冬空は、青く、よく晴れている。
遥かな空に飛行機雲がスーッと一本伸びていく。
映画館でスクリーンを観るように、わたしたちは並んで座って、窓の外を眺めていた。
「体育祭が終わってもそれっきりにしたくなくて、あの日君に告白したんだ」
「うん……」
「OKもらって、100のタイムも更新できて、今が人生のピークじゃねーかってほどに充実していた」
そう言いながら加島くんは鼻の頭をポリッと掻いた。
「OKしてくれたから、君は俺のことイヤじゃないんだと思ってはいたけれど、まさかそんなふうに想ってくれているなんて全然知らなくて、
自分としては、まだ片想いの延長線上にいるような気持ちでいたんだ。