キミの風を感じて
「だけど俺、まちがってた。別れるにしても、続けるにしても、覚悟を決めて思いをちゃんと伝えるべきだった。君の気持ちを確かめるべきだった。
君にハッキリと拒絶されるのが怖くて……、俺にはそれができなかったんだ」
ゴメン、と加島くんが頭をさげた。
「きょ、拒絶なんてしないよ! わたし好きだもん。加島くんのこと誰よりも一番好きだもん!」
「うん……」
短くそううなずいた加島くんの黒い瞳が揺れる。
いつも強気な彼が照れてるのがわかって、何だかすごく可愛かった。
「立木さん、
俺ともう一度つきあってくれる?」
真正面から真っ直ぐにそう訊かれた。
「あ、でも……」
それでもやっぱりそうなると、加島くんの夢を壊してしまいそうで怖いよ。
「俺、陸上ちゃんとがんばるから」
「でも……わたしがいたら足を引っぱってしまうかも」
厳しい世界なんだ、加島くんのいる世界は……。