キミの風を感じて
「いい?」
「うん」
加島くんを信じよう。
自分を信じよう。
その言葉に値する人になりたい。
椅子を片付けて2人で部屋を出るとき――
サッシにおろした鍵をあげようとするわたしの手を、加島くんの手が制止した。
ドキッとして振り向いたら、真顔の彼が名前を呼ぶ。
「紗百」
「ん?」
返事をしただけなのに、無愛想な表情がふわっとほどけて、うれしそうに「アハハ」と笑った。
「紗百」
「何?」
クスクス笑う。
うーむ、これ、からかわれてるな。