キミの風を感じて
「紗百なら教室でゴリに言い寄られてたぞ」
思い出したように本荘が言った。
「ええっ?」
「男バスのマネージャーやらないかって誘われてたみたい」
「えーっ? なんでだよ?」
「さぁ? 好きなんじゃない?」
「えっ……」
「つーか鈴木なんか目じゃないだろ? あわてんなよ、見苦しい」
本荘があきれ顔になる。
「バーロー、鈴木はいいが、あそこはイケメンぞろいなんだ。男子バスケ部」
「確かに……。手が早そうなヤツばっかだ」
「だろっ?」
あわてる俺がおかしいのか、本荘が笑いをこらえているのがわかった。ム……。
「あっ、来た来た。直接本人に訊きなよ」
ちょうどそのとき、校舎から立木さんが……いや、紗百が、夢崎さんと出てくるのが見えた。
「紗百―!」
と大きな声で呼んだのは本荘。
気がついて駆けてくる彼女のツインテールがピョコピョコ跳ねる。