キミの風を感じて
俺は両手を地面につき、落とした腰をあげ
クラウチングスタートで飛び出す。
低い体勢から徐々に体を起こしていくと、目の前が明るく開けてきた。
ゴールの向こうに紗百が見える。
たぶん大きな目を見開いて、真っ直ぐに俺を見ている。
風を切って
地を蹴って
君に向かって
今、ゴールした。
「どうだった?」
ゴールを走り抜けて、その先で固まってる紗百の前まで行って声をかける。
「すごい……」
目の前の紗百はため息のようにつぶやいた。