キミの風を感じて

それから目を輝かせ、胸の前で小さな手を両方ともグーにすると、興奮気味に語ってくる。


「すごいよ、加島くん! すっごい速かった! グングン近づいてきて、もうぶつかっちゃうかと思ったし!

すごいね……。やっぱすっごく速い!」


いや、スピードのことじゃなくて……。




女の子の気持ちはよくわかんないけど、それでも喜んでくれてるみたいだし、まっいっか。


なんて考えながら、一生懸命感想を述べてくる紗百の顔を眺めていた。






気がつくとかる~く人だかりができている。


みんなグランドの外から遠巻きに、俺が走るのを見ていたようだ。


今告白してるふうにでも見えてんのかな。




ピュ――ッと、指笛が鳴ったほうに目をやると高梨が遠くに立ってこっちを見ていた。


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