キミの風を感じて
「俺も紗百がゴールの先にいる姿、しっかり目に焼きつけたから。これで日本新も夢じゃねーぞ」
「え」
「今の走り、公式でタイム計ってたら結構ヤバかったかも」
「でしょ!? すっごい速かったもん!」
途端に目を輝かせる君。
『いつかオリンピックに連れてってやる』
なーんて言えたらいいけど、口にしたら薄っぺらなジョークみたいだ。
実現できるよう、真剣に取り組もうと思う。
その努力の先に、もしそんなサプライズができたなら
泣き虫の君は
きっと泣いちゃうんだろうな……。