キミの風を感じて
「でもいくらプリンスだからって、挽回するには限度もあるだろーし……」
不安をそのまま口にする。
だってわたしのトロさはその限界を超えちゃうかもしれないんだもん。
「それでダメならもういいじゃん」
あっさりと、本荘さんは言った。
「ただ自分の100mを全力で走るだけ」
凛とした表情。
さすがスポーツ女子は言うことがちがう。
「じゃ、そーゆーことで」
「うん」
爽やかな余韻を残して、本荘さんたちはそれぞれの部活へと向かっていく。
そんな彼女たちを見送り、ユメちゃんとわたしは帰り道を歩き出した。
本荘さんのオーラについてキャピキャピと盛りあがりながらね。
校門を出てしばらく金網のフェンスが続く。
そのフェンス越しに陸上部が練習しているのが見えた。