キミの風を感じて

翌朝――。


わたしはいつもより早く学校に着いた。


『朝練するから』って言ったきり、加島くんは時間も場所も教えてくれなかったから、取りあえず7時半にグランドに来てみた。




みんなまだみたい。


よく晴れた朝で、空気がひんやりと心地いい。


広いグランドの奥のほうから、野球部がノックを受けるかけ声が響いていた。




ん? あれかな?




手前のグランドの片隅で1人ストレッチをしている男子がいる。


紺地に赤の切り替えが入ったジャージ姿で、手足をグイーッと伸ばしたり回したり、体をねじったりしている。


近づいてみるとそれはやはり加島くんで、声をかけようとしたんだけど、あんまり熱心にやってるから、ついついかけそびれてしまった。




ま、いいや。


2人っきりは気まずいから、他のみんなが来るまで待つことにしよう。


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