キミの風を感じて

特にプログラムのラストを飾るクラス対抗リレーは、優勝を賭けてランナーと応援席とが一体となり、最高の盛り上がりを見せるいわばメーンイベント的なやつなんだ。




「そんなの走れるわけないもん」


自慢じゃないけどわたしの足は遅い。
運動も苦手だ。


去年だって完全にやらかしちゃっている……。


思い出したくもない過去が脳裏によみがえった。
う~……。




去年の体育祭――


障害物走に出場したわたしは、地面に張ったネットをくぐってほふく前進のように進むゾーンで、なぜだかネットに髪が絡まって動けなくなっちゃったんだ。


はじめヘアピンが引っかかって、はずそうとすればするほど、どんどん髪が絡まっていって……。


全校生徒の目の前で笑いものにされちゃうし、レースだって中断しちゃうし。


結局係の人に救出されるまで、わたしはネットの中でひとりジタバタしていたんだ。




恥ずかし過ぎる過去――。


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