キミの風を感じて
「じゃ、やってみて」
加島くんはスッと手を離し、一歩さがって腕組みをした。
棒立ちのまま、わたしはその場で腕を振ってみせる。
1、2、3、4……。
2、2、3、4……。
「力を抜いて」
「うん、そーゆー感じだ」
なんて声をかけてくれる。
えっと……マジだ、この人。
ジッと見られて、なんだか恥ずかしくなりつつ腕を振っていると、「次は足」と言われた。
加島くんがわたしの真横に来て中腰になる。
「一歩踏み出してみて」
「う、うん」
片足を踏み出そうと前に出したら、いきなり加島くんの両手がわたしの太ももをつかんで、もっと前へとグイッと引っぱって着地させた。
「いい? こんな感じ。いつもよりもうちょい大またで、前へ前へと踏み出すんだ」
「は、はい」