キミの風を感じて
そんなわたしがリレーなんか走れるわけないもん。
「あ、わたしは障害物走だ」
パラパラとプログラムをめくるユメちゃんが言った。
そんなぁ……。なんでわたしだけリレーなの?
しかも選ばれた記憶ないし……。
「ねぇ、これいつ決めたっけ? 体育祭の出場種目」
反対どなりの男子におそるおそる訊いてみる。
「先週の火曜かな、ほらHRの時間」
先週の火曜……?
「あ、ライブの日だ」
横からユメちゃんが言った。
そっか、その日はユメちゃんがハマっているバンドのライブがあって、2人で見に行ったんだ。
早めに行ってグッズを買いたいってお願いされて、そうそう6限目のHRをサボって会場に向かったんだった。
「え、いない間に決まっちゃったの?」
となりの男子に訊いたけど「さぁ」と素っ気ない。
男女分かれて決めたから知らないらしい。