キミの風を感じて

ん? いや、いたいた。


なぜか地面にうずくまっている。




「どうしたの?」


心配になって駆け寄ると、加島くんの肩が小刻みに震えていた。


「クックックックッ……」


は?


「わ、笑ってんの?」


「だって立木さん、すっげー走り方するから……」


そう言ったとたん、こらえきれなくなったのか、ブハハッて加島くんが笑い転げた。




「えっ、わたし?」


「ふわーんふわーんって月面を歩いてる人みたいだった」


そう言いながらゲラゲラ笑っちゃってる。




ム……。




「か、加島くんがゆっくりでいいって言うから」


「言ったけど、まさかあんなにゆっくり走ると思わねーし」




もう笑いは止まらない。


< 60 / 375 >

この作品をシェア

pagetop