キミの風を感じて

「しかもそんなんで100mも走りきったんだぜ、ウソみてー。アッハハハ……」


「…………」




何よ、、さっきまでずっとムスッとしてたくせに。




「そんなにおかしい?」


ボソッと低くつぶやいた。




「あ。……ゴメン」


怒りを押し殺したその口調にハッとしたのか、彼はやっと立ちあがる。


フンだ。




「教わったことを考えながら真面目に走っただけだもん。笑いすぎだよ」


一生懸命がんばったのに爆笑されて、くやしくって恥ずかしくって涙が出そうになった。




「えっ、泣かないよな?」


「な、泣いてないし! こんなぐらいで泣くわけないじゃない」


思わず大声を出したけど、興奮すればするほど涙がじわっと浮かんでくる。




それをあ然と見つめる目。


きっとバカにしてる。


< 61 / 375 >

この作品をシェア

pagetop