キミの風を感じて
「あー、じゃあ100はキツイだろうし半分ぐらいでいいから、直線で何度か往復してみて。適当に休憩はさんで」
わたしの目の中の涙から視線をそらして、加島くんがボソッと言った。
まだ走らせる気か?
「全力じゃなくていいけど、さっきよりもう少しスピードあげて」
わ、わかってるよ!
ムカつきながら何往復か走る。
そろそろあがろう、と声をかけられるまで、加島くんとは一言も口をきかなかった。
だって怒ってるもん、わたし。
「ずいぶんよくなったよ。毎日やってたら体が覚えてくるから、そうしたら速くなる」
「…………」
「あと立木さんの場合は100mを走りきる体力をつけなきゃな。ヒマがあればなるべく走っといて」
かけられた言葉にペコンとおじぎだけして、とっとと女子更衣室へと向かった。
こんな生活が2週間も続くなんて、マジ悪夢だ。