キミの風を感じて
練習メニューの組み方やらトレーニング方やら細かいチェックと横やりが入る。
そのわりに関心薄いんだよな、この人。
俺が低迷してるのを、自分のせいにされてるかもしれないってのに。
「逃げちゃおうとか思わないの?」
不意に訊かれた。
「え?」
「俺なら逃げ出したくなるなぁ。記録を出すのが大前提なんて世界」
吉崎は笑って言う。
「逃げようとしたけど」
「無理だった?」
「いや、なんだかバカバカしくなって開き直れたっつーか……」
「はは、強いのな」
強くは……ない。
そうありたいとは思うけど。
「まー、せっかくだし全国レベルの空気でも味わってくればいいさ」
叱咤激励などしないこいつのこーゆー関心の低さに、俺はずいぶん救われてるのかもしれない。