キミの風を感じて
で、ゴールインしてからピューッと友だちのところへすっ飛んでって
『あー、恥ずかしかったぁ!』って、ぺロッと舌を出したんだ。
真っ赤な顔して、へへへって……。
その笑顔を見たとき、なんていうか俺、ポカンとして
それから……うん、爆笑した!
ちっぽけな自分が全部ぶっ飛んだ。
実際あのとき、声を出して笑ったのはどれぐらい振りだったろう?
俺にとってはそれほど立木さんの走りは痛快だった。
ブーイングの中を平然と走っていく彼女は、堂々とカッコよく見えた。
『なんだ、あれ。空気読めよ』ってみんなは文句を言ってたけれど、俺はむしろ気持ちが晴れやかになっていくのを感じていた。