キミの風を感じて
「え、ホントなの?」
こっちを向いた彼女の顔がパァッと明るくなっていく。
「初めはいろいろと確認しながら走ったからああなったんだろ? もう大丈夫だよ」
そう言ったら立木さんはプクッとふくれた。
「もぉ! 直ったんなら言ってよね。悩んでたのに……!」
「言っただろ? よくなってきたって」
「え、言った? 加島くん大爆笑したからその印象しか残ってないし」
キョトンとそんなことを言う。
「いや、笑うだろ普通。あんなに真面目にふわんふわんって、100mも……」
と言いかけてからハッとした。
こ、これは言ってはいけない言葉だったか。
ヤバい。また泣きだすかもしれない。
「いや。でもあれはあんまり予想外で、すげー可愛かったから笑ったんだ」
急いで弁明を付け加えると、彼女はちょっと不思議そうな顔をして俺を見あげ、それからプイと横を向いた。