キミの風を感じて

「ごめんなさい! わたし足が遅くて、リレーなんてホントに無理なの!」


授業終了のチャイムとともに席を立ち、松山さんのところへ行って丁重に頭を下げた。


必死で訴えたが、松山さんはそんなわたしを見てどんよりとした顔になっていく。




「ゴメンね。立木さんに断られたらホントに困る。みんなリレーに出るのいやがっちゃって、話し合いにならないの」


「そんなに……?」


去年のクラスではリレーに出たいって子が案外多くて、ジャンケンで100m走にまわされてたぐらいだったのに……。





うちの体育祭ではひとり1種目の徒競走出場が義務づけられていて、

足が速いからといって、いくつもかけもちでレースに出られないかわりに、遅いからって出場をパスするわけにもいかないんだ。


みんな何かしら走らなきゃいけないお約束。


といっても個人競走の100m走や障害物走みたいに加点が少なく、わたしみたいに足が遅くても気軽に出場できる種目もあるんだけどね。


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