キミの風を感じて

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わたしが気にしたからか、慣れてきたからなのか、
加島くんはわたしにつきあいながら自分の練習もこなすようになった。


『朝はハードな練習はしない』って言ってたけど、あれはウソだよ。


わたしがちょっと走る間に、加島くんはすっごくいっぱい走ってるもん。




あと筋トレ? あれがヤバい。


腹筋や腕立てやスクワット、太ももをあげてスキップしたりもするんだけれど、地味だしキツイから、わたしはすぐに音をあげちゃうんだ。


でも加島くんはその何倍もの量を当たり前にこなす。


腹筋にもいろんなバリエーションがあって、足を浮かせたりとか、起き上がって上体をひねったりとか、鍛える筋肉がビミョーにちがうらしい。




筋トレ中はさすがの加島くんも額に汗が光り、息があがったりしてる。


いつもの澄ました顔が苦痛にゆがむのをちらちら眺めてたりなんかして……。




「あのさ、終わったんなら先に走っとけば」



サボってるのがバレると若干キレられる。


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