キミの風を感じて

放課後の陸上部の練習も、加島くんはがんばってるようだ。


朝練ではフルスピードで走ることなんて、まずないけれど

運が良ければ下校のとき、トラックを全力疾走する彼の姿が金網越しに見られる。




本気で走ってるときの加島くんは、いつもの冷静で淡々とした印象とはガラッと変わって、すごい迫力だ。

そしてすごく速い。




真剣な表情。

力強い足運び。

風になびく髪。


初めてその姿を見たとき、なぜか言葉が出なかった。


ただただ息をのんで見つめていた。




「おー、カッコいいね」


横でユメちゃんがそうささやいたっけ。


< 87 / 375 >

この作品をシェア

pagetop