キミの風を感じて
「俺らはみんな吉崎先生が好きなんだ。あの人いつもひょうひょうとしてるけど、その実部員ひとりひとりのことをちゃんと見てくれている。
サボってたら怒られるし、煮詰まってると適当にガス抜きをしてくれたりな」
向けた視線を加島くんからそらさずに、福本さんは言葉を続けていく。
「確かに陸上経験はないかもしれないけれど、職員室のあの先生の机には陸上関係の本が何冊も並んでいるんだ。俺らに技術的なアドバイスもできるように先生だって努力している」
「わかってます」
「わかってんならすることがあるだろ」
福本さんが急に声を荒らげた。
「たらたらしてんなよ。お前が結果を残せないから吉崎先生は辞めさせられるんだ」
責め立てるような口調になる。