災厄の魔女
「で、どうやってこんな大勢の学生の中から我がギルドに迎え入れる者を選出しようか悩みに悩んだ挙げ句、出ちゃったんだよ、とびきり凄い良い名案が!て事で、リッカちゃ~ん」
呆れる学生達を置いて1人言葉を続ける要。
彼は最後に誰かの名を口にする。
すると突然隣に現れた1人の少女。
長い金髪をフワリと揺らす彼女は彼同様、額にアイマスクを乗せている。
「話が長いのだ、バカナメ。あと一秒で帰る所だったぞ」
「ごめんごめん、待たせて悪かったって」
お人形のような容姿の彼女は腹を立てているのか頬を膨らませて見せる。
それにしても今、彼女はバカナメとか何とか言わなかったか?
彼は何も触れないが気のせいだと?
「用意はとっくに出来てるのだ。さっさと始めるのだバカナメ」
「はいはい、承知しましたよリッカ様」
また言った。
今度は聞き間違いなどではない。
確かに彼女はバカナメと、彼を馬鹿にした呼び名で呼んでいる。
なのに何故、彼は何も突っ込まない。
彼はギルド長。
彼女はその部下。
そういう関係である筈なのに、何だこのやりとりは。
このギルドの身分制度はどうなっている。
つっこみどころ満載の2人。
見ているこちらは疲れてしまうのだった。