災厄の魔女
パチリとリッカと呼ばれた少女が指を鳴らすと現れたのは大きな木箱。
上面に丸い穴が開いたそれを抱き抱えるようにして彼女は持つ。
「この中には君達の名前が書かれた紙が一枚ずつ入ってる。それだけ言えば、優秀な君達には今から俺が何をする気なのかわかるよな?」
穴の開いた正方形の木箱。
その中に入った名の書かれた白い紙。
誰もがその2つの手掛かりで予想ができた。
彼はこれからくじ引きをするつもりだと。
嘘だろ。
ギルドに招く者をくじ引きで決めると言うのか?
馬鹿げてる。
何て事する気だこのギルド長は。
「大丈夫。君達の名前の書かれた紙に混じって白紙の紙が相当量紛れ込んでるから」
運が良ければ誰も選ばれないと言う事。
驚き目を見開く学生達はほんの少しだけ気楽になったような、そんな気がし胸をなで下ろす。
「じゃぁ早速、運命の瞬間です!」
楽しそうに声をあげる要は右手を木箱に突っ込んだ。
がさごそと中を漁る音が張り詰めたこのホールの中やけに響く。
数秒後、木箱の中動きを止める彼の右手。
止んだ音にゴクリと息を呑む学生達。
真剣な眼差しが木箱に集中する。
紙を掴んだであろう要はニッ悪戯に笑うと右手をその中から勢い良く引き抜いた。