災厄の魔女
「あぁ煩い。朝っぱらから、ヒック…耳障りな鼻歌なんて歌うんじゃないよ……」
カウンター席に座るシンリは酒を飲みながら愚痴を零す。
朝っぱらから酒なんか飲んで、既に酔っている貴女の方がどうかと思うが…
「それにしても、今日中に無事たどり着けるかが心配ですね」
「たどり着けるか?」
「ミヤビは極度の方向音痴なのだ」
タクミの言葉に首を傾げると、猛スピードでタイピングするリッカが返答してくれた。
「よし、ミヤビを探して来るんだハル。一日中彼奴の耳障りな鼻歌なんて聴きたくないからな」
「は?何で俺なんだよ。てか俺ミヤビって奴の顔なんて知らないし」
「大丈夫。この時代に珍しく腰に剣なんか差した変わり者だから」
変わり者って、貴女が言いますか貴女が…
「て事で任せましたよ、ハル」
「無事に帰って来るのだぞ」
え?
何か勝手に俺が迎えに行く流れになってるけど?
知らないって言ったよな?
見ず知らずの人物を1人で探しに行けって?
そんな無謀な…
てか何?
無事に帰るって?
そんな危険な人物な訳?
ミヤビって言う奴は。
まぁ、このギルドに居るメンバーだ。
普通な人である筈は無い。
変わり者だとは思うけれど、そこまで酷い人なのだろうか。