災厄の魔女

陽は沈み、闇が世界を包み込む。

灯りの無い森の中では、夜目の利く動物達が鋭く眼を光らせていた。



暗い雑木林から抜け出したハル。


この時間までずっとミヤビと言う人物を探していたのだが、何処をどう探してもその人物と思われる人の姿は見当たらなかった。




 「だから言ったんだよ、俺にはわからないって……」


町中を歩く帰り道、何と言い訳をしたらいいものかと頭を悩ませる。


彼等の事だ。
そう簡単に納得する筈も無い。

こんな闇の中でも、見つけるまで探して来いと言い追い出されるかもしれない。




 「あぁ…もう嫌だなぁ……」


重い足取りのハルは灯りと賑やかな声の漏れる喫茶店を目に溜め息を吐く。


そして乱暴に頭をかくと扉を開いた。




 「悪いんだけど、俺には無理――」


 「遅いじゃないかハル。何してたのさ」


恐る恐ると言った感じで中に入り低く言うが、シンリの言葉に眉を潜める。




 「何してたって、ミヤビを探しに行ってたんじゃないか」


 「ミヤビなら既に帰って来てるのだ」


 「え……?」


帰って来てる?
既に此処へ?


何それ…
何なんだよ一体…


無駄だった訳?
無駄足だったって?

俺は今日1日、居もしない人物を探して雑木林をさ迷っていた訳だ。

意味の無い事してたんだ、俺は。


まったく、俺の1日を返せ!
貴重な時間を返せ!


まぁ無理だけど。
そんなの出来ない事位わかってるけど。








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