災厄の魔女

片膝をつき血を吐くシンリに対し、即座に治癒を施すリッカ。




 「安心しろ。内臓を少し傷付けただけだ。死にはしない」


女性の言葉に何も言えず只睨むだけのシンリ。


珠里奈を退避させシンリの前に立つタクミを見て思う。

客で来ている少女を逃がす手助けをしなければと。


そう思い隣に視線を移すが其処に少女の姿は無く、既に逃げたのかと再び女性に目を戻す。


すると女性の背後には、剣を抜き振り上げる探していた少女の姿が。


女性は少女に気づいているのかいないのかどちらか判断出来ないが、少女は素早く剣を振り下ろす。




 「良い太刀筋だと誉めてやろう。だが甘いな」


 「っ!」


刃をいとも簡単に交わした女性は振り向きざまに紅茶をぶちまける。


それを顔面に浴びた少女は反射的に目を瞑り、その隙に何か企む女性は片手を挙げた。


すると動きを見せたのは壁にめり込む1つの銃弾。


壁から抜けたそれは怯んだ少女の身体に風穴を開けた。




 「みゃ――!?」


何か叫ぼうとしたタクミだが、言葉は詰まり最後まで言う事は不可能。


と言うのも、一瞬で距離を縮めた女性はタクミの首を片手で掴み締め上げていたからだ。




 「ぐ…っ……」


 「その綺麗に整った顔を見ると思うんだよ。グチャグチャに、無惨な姿に変えてみたいって、ね!」


タクミの首を絞める女性はその手を離すと次に彼の髪を掴み思い切り床に顔面を叩き付ける。


それも何度も、何度も何度も飽きる事なく叩き付けた。









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