災厄の魔女
タクミのぎこちない笑みにハッとしたハルは頬をかき珈琲を口に含む。
「って……」
するとコツンと後頭部に当たって床に落ちた何か。
振り返ると手を振るカナメと目があった。
「何だよ……」
ニタリと微笑む彼は床に落ちる紙屑を指差す。
無視する事もできたが、そんな理由も特に見当たらず丸められたそれを拾いあげた。
「…はぁ……?」
クシャクシャの紙屑を開き目を通した後の第一声。
ハルの反応に首を傾げるタクミは紙屑を覗き込むがクシャリと丸められた為それは不可能となる。
不機嫌そうな顔をしてカナメに紙屑を投げ返すハル。
しかし投げた筈のそれは何故かハルの元へと帰ってくる。
「ふざけんな!何だよこれは!子供のお使いか!」
怒りが頂点に達し、遂には床に紙屑を叩き付けたハル。
それを拾ったタクミはその内容に乾いた笑みを浮かべた。
「これ全部お前が欲しいものだろ!?何で俺が買いに行かないといけないんだよ!?」
そう、そこに書かれていたのは全てカナメの欲っするもの。
ハルには関係の無いどうでもいいものばかり。
「だって俺ギルド長だし。ギルド長が此処を留守にする訳にはいかないし。第一俺忙しいし」
様々な言い訳を口にするカナメ。
そんな彼に対し何処が忙しいんだと此処に居る全員が思っていた。