災厄の魔女

どう見ても忙しいしとは思えないが、何を言っても聞きそうにないカナメ。

反抗しても言いくるめられるだけだと経験上学んでいる。

誰かに頼めば問題解決だと、カナメから目を離したハルの瞳に映ったのはリッカの姿。




 「嫌なのだ」


 「嫌まだ何も……」


しかし声をかける前に彼女に短く拒まれた。


次いで目がいったのはシンリ。




 「あれは問題外だな……」


珠里奈に何か一方的に話かけている彼女。

彼女に声をかけるべきではないと他をあたるハル。


後はミヤビとタクミの2人。


だがあの尋常ではない方向音痴のミヤビに頼む訳には…




 「あれ?そう言えばミヤビは?」


ふと思う。
彼女の姿を今朝から見ていないと。




 「彼女なら今朝早くから依頼の為出てますよ」


ハルの疑問に答えてくれたのはタクミ。


皺のよった紙屑を折り畳む彼はジャケットのポケットにそれをしまう。




 「さて行きますよ、ハル」


 「へ?何処へ…」


 「お使いにです」


椅子に座るハルを立ち上がらせるタクミ。


嫌な予感を胸に首を傾げると、やはり返ってきたのは思った通りの言葉。


タクミの放ったウインクの眩しさに目を細め、溜め息を吐きながら首をもたげるハルは渋々お使いへと出向くのだった。











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