災厄の魔女
透き通る程綺麗な水を溜める海にカモメの舞う青い空。
港に停泊する船からは様々な荷物が運び込まれ、町は活気づいていた。
「カナメから頼まれたものは以上ですね」
皺の寄った紙屑を広げ言うのはタクミ。
彼はハルを連れ港町へとやって来ていた。
「ハァァ…終わったならさっさと帰ろうぜ。もうくたびれた……」
「折角来たのに良いんですか?何処か見回らなくて」
「いいのいいの。特に必要なものなんて無いし」
昼食を取り満腹な状態で暖かな日差しを受け、睡魔に襲われているハルは大欠伸をしながら伸びをする。
そんな彼を目にタクミがニコリと微笑むと、道端に居る町娘達は頬をほんのりと赤く染め黄色い奇声をあげていた。
「こんな所で会えるとは、今日はついているようだ」
ギルドへと足を向けた頃、前方から聞こえてきた男の声。
顔を上げればハル達2人の行く先には2人の男女。
腕を組み仁王立ちする男は此方を向いてニヤリと微笑んでいた。