災厄の魔女
「こんな町中で争うのはどうかと思いますが?」
「わかってるさ。だからこうやって場所を変えたんだろう?」
落ち着いた物言いのタクミに嫌味に笑いかけるスキンヘッドの男。
辺りを見渡せば、賑やかだった町並みは壊れた闘技場へと変化していた。
「穏便に済ませたい所でしたが、そうも言ってられないようですね」
4人を一瞬にして転移させてみせた彼。
思ったよりもできる人物と見たタクミは笑みを浮かべているが、その瞳は笑っておらず冷たく相手を見据えていた。
端から見れば2対2の平等な戦いに見えるだろう。
しかし俺、御國 遙翔は戦力外。
実際の所タクミ1人でこの2人の相手をしなければならないと言う状況なのだ。
しかも足手まといな俺を護りながらの攻防となる。
頑張れタクミ!
心の中で応援しながら一歩後ろに下がるハル。
タクミの後ろに隠れるように移動した。
「俺はこのイケメンをやる。お前はあの少年をやれ」
「はいはい。わかりましたよクソハゲ野郎」
気だるそうに返事をする少女。
やっぱりそうなるか。
心の中呟くハルは嫌な顔をしながら後退り、少女との距離を少しでも長くとるのだった。