災厄の魔女

 「先手必勝!『吹き荒れる風は刃となりて 我が身に纏い敵を斬れ 鎌鼬!』」


魔法の詠唱を終えたスキンヘッドの男。


シュッと腕を振ると共に彼を中心にして吹き荒れ始める突風。


その風は鋭く目に見えない刃を持ち、無差別に相手を斬りつける。




 「なるほど、これでは近づく事も触れる事も不可能。自らの身を護りながらの攻撃と言う訳ですね」


瞬時に魔法の特性を把握し口にするタクミ。


顎に指を添え感心する彼はまるで他人事のようだ。




 「今からその凄まじさを思い知らせてやる!」


調子にのった様子の男が叫ぶと同時に高まる魔力。

周りに吹き荒れる突風の勢いは更に増す。


未だ顔色1つ変えず男を見つめるタクミは揺れる髪を掻き揚げフッと口元を緩めた。











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