災厄の魔女
空を覆うのは厚い雲。
吹き荒れるのは冷えた風。
日差しの無い其処は朝だというのにまるで闇へと世界を変える夕暮れ時。
妙な静かささえもそれを倍増させていた。
「足を引っ張るなよ、このクズが」
「……」
町を歩きながら言うのは黒髪ショートの男。
彼はBランクギルドに所属している人物で、言葉を投げかけた相手は格下のギルド、『noir papillon』のメンバー、ミヤビにである。
彼女は彼の貶したような言葉を耳にするも無反応。
何も言わず後を追う彼女の様子を気に入らなかったのか、男は舌打ちを打ちながら視線を前へと戻す。
前方には彼等の他に2人の人物。
義手義足の中年男性とニコニコ元気な小柄の少年。
2人はそれぞれAランクギルドの人物である。
此処は一夜にして滅びた小さな町。
一体何が起きたのか、何故滅びてしまったのか、その調査をする為依頼を受け集まったのがこの4人。
クラスもギルドも異なる彼等だが、互いに同じ任務を請け負う以上、共に協力し成果を上げよう。
そうして4人で調査をする事となり今に至る。