災厄の魔女
ポツリポツリと零れる雫は乾いた地面に吸い込まれ、鳴りだした雷は空で煌めき稲妻が走る。
「時間を、巻き戻した……?」
「そう、今の彼等は死ぬ前の姿。死の直前の行動を彼等は行っていると言う訳」
吹き荒れる竜巻を剣で断ち切るミヤビは飛んできた銃弾を弾き柴架へと軌道を変える。
が、彼女の姿は幻。
その銃弾がその身を傷つける事は決して無い。
「死の直前とは、死の原因である私を殺そうとしていた時の事。と言う事は、彼等の繰り出す魔法は自らが持つ最強の魔法。
私を殺す為に繰り出される全力の魔法を、この数相手に君達は一体何時まで耐えられるかな?」
耳障りな笑い声をあげる柴架。
雑念に集中力が保持できず、間髪入れず次々と襲い掛かる攻撃を見落としてしまいそうになる。
「『全てを防ぎし強き壁 我が周囲に結界となりて魔を払え!』」
スッと片手を挙げた少年の魔法により4人を囲う結界が出現。
見落とした攻撃全てを弾きミヤビ達を救う。
「この結界もそう長くは保たないよ。できるだけ維持はするけれど、壊れる前に何とか打開策を見つけて欲しいな」
ニコリと微笑み言う少年だが、額に浮かぶ汗は玉のよう。
結界で防いでいる攻撃が、何らかの影響を及ぼしているのであろう。
早く何とかしなければ。
彼の行動を無駄にする訳にはいかない。