災厄の魔女
一際大きな歓声があがり、学生達の魔法によるアピール合戦は終演を迎えた。
疲れただの悔しいだの、自信があるだのこれからが楽しみだの。
様々な胸の内を語る学生達。
彼等はステージの周りに集まり、ギルド長による名指しの勧誘を緊張しながら待ち望んでいた。
「ハァ…早く終わらねぇのかよ……」
その中で1人、気だるそうに溜め息を吐くのは御国 遙翔。
無造作にはねさせた緋色の髪を乱暴にかき壁に背をつける彼は興味が無い様子。
と言うのも、彼の結果は初戦敗退。
かなり年下の少女にものの数秒でノックアウト。
そんな自分には勧誘など無関係。
と言うか、興味ない。
最高学年までこの学園で何事も無く平和に暮らす事。
それが彼の目標であるのだから、今日のイベントは彼にとっては退屈で仕方のないものなのだ。
そもそも、自分には才能なんてそんなものないのだし。
「はい注目~!」
1人ふてくされていると、キンと耳障りな音が聞こえてきた。
発生源へと目を向けると、ダークブラウンの髪をした1人の男性が拡声器を手にステージの上に立っていた。