闇夜に真紅の薔薇の咲く
Xx.+.
梅雨のこの時期には珍しく、今日は雲ひとつない晴天だった。
時計の針は午前十時を指し普段ならば教室で授業を受けている朔夜は……何故か校舎内を逃げ惑っている。
「こ、こないでえぇぇ……!」
もう何分走り続けているか分からない。
朔夜は背後を振りかえり、さっと顔色を返る。
先ほど振り返った時は確かもっと離れていたはずなのだが……。
朔夜の背後。彼女を追いかけているのは、常任には見えない人外のものだった。
ソフトボールほどの黒い球体に小さなぎざぎざとした羽をはやし、額には角を生やしたそれはまさしく悪魔とか言う類いのものだろう。
あのカードを見つけて三日間。彼女は常に、この悪魔たちに追い回されている。
遭遇するものはいつも様々な悪魔だが、そのほとんどがこの黒い球体のものたちだ。
いつもはノアール達がついてくれているためこんなに走らなくても済むのだが、どうにも今日は運が悪い。
彼らに遭遇したのは二人同時に麻生に呼び出され、一人で宛ても無くぶらぶらと歩き回っていたときだったからだ。
幸い、彼らと出会ったのは図書室のある特別棟。この時間はいつも人気が少なく、今のところ誰にも会っていない。
皆、授業に行ったのだろう。
梅雨のこの時期には珍しく、今日は雲ひとつない晴天だった。
時計の針は午前十時を指し普段ならば教室で授業を受けている朔夜は……何故か校舎内を逃げ惑っている。
「こ、こないでえぇぇ……!」
もう何分走り続けているか分からない。
朔夜は背後を振りかえり、さっと顔色を返る。
先ほど振り返った時は確かもっと離れていたはずなのだが……。
朔夜の背後。彼女を追いかけているのは、常任には見えない人外のものだった。
ソフトボールほどの黒い球体に小さなぎざぎざとした羽をはやし、額には角を生やしたそれはまさしく悪魔とか言う類いのものだろう。
あのカードを見つけて三日間。彼女は常に、この悪魔たちに追い回されている。
遭遇するものはいつも様々な悪魔だが、そのほとんどがこの黒い球体のものたちだ。
いつもはノアール達がついてくれているためこんなに走らなくても済むのだが、どうにも今日は運が悪い。
彼らに遭遇したのは二人同時に麻生に呼び出され、一人で宛ても無くぶらぶらと歩き回っていたときだったからだ。
幸い、彼らと出会ったのは図書室のある特別棟。この時間はいつも人気が少なく、今のところ誰にも会っていない。
皆、授業に行ったのだろう。