闇夜に真紅の薔薇の咲く
それはあまりに強く、朔夜のスカートを揺らす。
反射的に目を細め、スカートと髪を抑え前方を見やった。
そこには、いつの間にか彼の背丈をゆうにこえた大鎌を軽々ともつノアールがおり、彼は肩に大鎌の柄をのせるような体制で悪魔たちをじっと見据えている。
強風で吹き飛ばされた悪魔たちは、壁にぶつかりつかの間呆然としていたが何が起きたか把握したようだ。
すぐにキイキイと耳が痛くなりそうな鳴き声をあげると、ノアールを取り囲む。
どうやら彼ら、一度頭に血が上ると目的を忘れる質(タチ)らしい。
彼女は、ここ三日間ほど彼が悪魔を倒しているところをずっと見て来た。
ノアールが負けるはずがないと分かっていながら、圧倒的な数に焦りを感じ、思わずルイの袖を引っ張った。
「ん? どうしたの?」
朔夜とは対照的に、いつも通りのルイは笑顔を浮かべて朔夜を見下ろす。
全く心配している様子を見せない彼が少しばかり感心してしまう。
「助けに……行かなくてもいいの?」
「ん? 大丈夫でしょ。あんなの、ノアールの手にかかったら瞬殺だよ。朔夜ちゃんも知ってるでしょ?」
「そ、そりゃあ……」
彼の力を信じて疑わないその目で見つめられ、朔夜は急に恥ずかしくなった。
そうだ。ノアールは強い。
霞高の武道の主将よりも遥かに。
反射的に目を細め、スカートと髪を抑え前方を見やった。
そこには、いつの間にか彼の背丈をゆうにこえた大鎌を軽々ともつノアールがおり、彼は肩に大鎌の柄をのせるような体制で悪魔たちをじっと見据えている。
強風で吹き飛ばされた悪魔たちは、壁にぶつかりつかの間呆然としていたが何が起きたか把握したようだ。
すぐにキイキイと耳が痛くなりそうな鳴き声をあげると、ノアールを取り囲む。
どうやら彼ら、一度頭に血が上ると目的を忘れる質(タチ)らしい。
彼女は、ここ三日間ほど彼が悪魔を倒しているところをずっと見て来た。
ノアールが負けるはずがないと分かっていながら、圧倒的な数に焦りを感じ、思わずルイの袖を引っ張った。
「ん? どうしたの?」
朔夜とは対照的に、いつも通りのルイは笑顔を浮かべて朔夜を見下ろす。
全く心配している様子を見せない彼が少しばかり感心してしまう。
「助けに……行かなくてもいいの?」
「ん? 大丈夫でしょ。あんなの、ノアールの手にかかったら瞬殺だよ。朔夜ちゃんも知ってるでしょ?」
「そ、そりゃあ……」
彼の力を信じて疑わないその目で見つめられ、朔夜は急に恥ずかしくなった。
そうだ。ノアールは強い。
霞高の武道の主将よりも遥かに。