闇夜に真紅の薔薇の咲く
じっと、ノアールは悪魔たちから視線を逸らさない。


――不意に、彼の口角がつり上がった。


その表情に浮かぶのはどこまでも冷酷な絶対零度な笑み。


あまりに冷たいそれに、朔夜は恐怖で震えた。


ここ三日で分かったことが一つある。


それは、ノアールとルイが悪魔との戦いを心から楽しんでいると言うことだ。


ほぼ無意識に近いのだろう。


二人とも、同じような笑みを浮かべて悪魔たちを見据えている。


そして大体、その笑みを浮かべた後に――……。


(あぁ、やっぱり)


ノアールは大鎌の柄を握り直し、ぐるりと鎌で円を描く。


すると、今まで憤慨していた悪魔たちが突然ぴたりと鳴き声をやめた。


ノアールが鎌を肩にもたせかけた瞬間、悪魔たちが一斉に消滅する。


それを見て、ルイはぱちぱちと手を叩いた。



「流石ノアール。雑魚にも容赦ないね」

「……それは褒めてるのか?」

「もちろん。褒めてるに決まってるじゃない」



にっこりと微笑んで右の人差し指をぴんっと立てるルイ。






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