闇夜に真紅の薔薇の咲く
というか、部屋に近いとはどういうことだ。






家ならまだしも、部屋とは……。






まさか、隣に引っ越してきたのだろうか。





そこまで考えて、朔夜はふるふると首を振る。





隣に引っ越してくるなどあり得ない。





彼女の家は両隣りどちらにも家がある。





右隣は噂好きのおばさんで、左隣は爽やか美系な青年。





どちらとも引っ越すと言う話しは聞いていないし、おばさんに関しては今朝家を出る際に植物に水をやっていた。






では、どういうことなのだろう。





と、悶々と考えているといつの間にか家につき、結局答えが見つからないまま門に手をかける。






ノアールとルイは何故かその場に立ち止まり、一向に動こうとしない。







それに少々疑問を持ちつつ、門を開けて振り返った。








「あの、今日はありがとうございました。また明日――」






言いかけて、玄関の扉が開いたことに気づき途中で言葉を区切って振り返る。






そこには目を丸くした母親の姿があり、朔夜は小首をかしげ母の視線の先を追って固まった。






そうだ。そう言えば、まだ彼らは帰っていなかった。






恋バナやらが好きな母のことだ。





きっと彼らを見て余計な考えに思い当ってしまうに違いない。






恐る恐る母の顔を見ると、彼女は目を丸くしたまま低く言葉を発する。








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