闇夜に真紅の薔薇の咲く
「朔夜。アンタ……」
「ち、違うの。母さん! この人たちは友達で、二股とかそんなのじゃ……!」
必死に説得しようと、身振り手振りを大きくして話しをする朔夜だが、母は全くと言っていいほど自分を見ていない。
もうダメだ、と手のひらで顔を覆った瞬間、母の妙に明るい声が耳に入ってきた。
「あら~。瑠衣くん、伊織くん。いらっしゃい」
「今日からお世話になります。おばさん」
「今日からよろしくお願いします」
母の声に続き、ルイの明るい声が聞こえ、次にノアールの淡々とした言葉が耳に入りこみ驚いて顔をあげる。
みると、母はこれ以上ないほどの笑顔を浮かべて玄関の扉を開けていた。
「いいのよ。別に。友達の頼みだもの、断れないわ。それに、こーんなイケメンな子達ならいつでも大歓迎よ」
「イケメンだなんて……。俺たち、そんなんじゃないですよ」
苦笑を零すノアールに、母はいつもより1オクターブ高い声で彼の背中をばしばし叩く。
「またまた謙遜しちゃって! 二人を朔夜のお婿さんに欲しいわぁ~」
(そりゃ、私に二股しろってことか)
会話についていけないながらも思わず半眼になってそう心の中で突っ込むと、それを知ってか知らずか母は意味ありげな視線をこちらに向けて来た。
朔夜は母から視線をそらし、ノアールを見る。
母に容赦なく叩かれた彼は困ったような笑顔を零して母を見ていた。
それを見てため息を零しつつ、靴を脱いでいるとこの時間に聞こえるはずのない声が帰宅の知らせを告げた。
「ただいまー」
「お兄ちゃん!? こんな時間に帰ってくるなんて珍しい……」
「これから数年一緒に暮らす人が来るんだ。早く帰ってきて当然だろ?」
「ち、違うの。母さん! この人たちは友達で、二股とかそんなのじゃ……!」
必死に説得しようと、身振り手振りを大きくして話しをする朔夜だが、母は全くと言っていいほど自分を見ていない。
もうダメだ、と手のひらで顔を覆った瞬間、母の妙に明るい声が耳に入ってきた。
「あら~。瑠衣くん、伊織くん。いらっしゃい」
「今日からお世話になります。おばさん」
「今日からよろしくお願いします」
母の声に続き、ルイの明るい声が聞こえ、次にノアールの淡々とした言葉が耳に入りこみ驚いて顔をあげる。
みると、母はこれ以上ないほどの笑顔を浮かべて玄関の扉を開けていた。
「いいのよ。別に。友達の頼みだもの、断れないわ。それに、こーんなイケメンな子達ならいつでも大歓迎よ」
「イケメンだなんて……。俺たち、そんなんじゃないですよ」
苦笑を零すノアールに、母はいつもより1オクターブ高い声で彼の背中をばしばし叩く。
「またまた謙遜しちゃって! 二人を朔夜のお婿さんに欲しいわぁ~」
(そりゃ、私に二股しろってことか)
会話についていけないながらも思わず半眼になってそう心の中で突っ込むと、それを知ってか知らずか母は意味ありげな視線をこちらに向けて来た。
朔夜は母から視線をそらし、ノアールを見る。
母に容赦なく叩かれた彼は困ったような笑顔を零して母を見ていた。
それを見てため息を零しつつ、靴を脱いでいるとこの時間に聞こえるはずのない声が帰宅の知らせを告げた。
「ただいまー」
「お兄ちゃん!? こんな時間に帰ってくるなんて珍しい……」
「これから数年一緒に暮らす人が来るんだ。早く帰ってきて当然だろ?」