闇夜に真紅の薔薇の咲く
いつも、朔夜の隣には兄である夜空が座り、いつも、彼女たちの向かいには両親が座る。







今日もてっきりそうだと思い、あまりテーブルの周りを囲む順番を直視していなかった。






自分がいつも座る席だって同じだし、隣には兄がいる。






あの美系な彼らは両親の隣にでも座っているのだろう。そう勝手に解釈していたのだが……。






……――どうやら、違ったらしい。






向かいには絶句して手をあわせてしまった体制で固まってしまった彼女を不思議そうに見やる夜空。






彼が目の前にいることだけで、自分の隣が彼でないことが分かる。






朔夜の両隣り。彼女の異変を不思議そうに観察する彼ら。





(……何でよりにもよって。私が真ん中なの!?)





彼女を挟むようにして不思議そうに見下ろしてくる人物たちは、紛うことなき美系な双子だった。






左隣にルイ、右隣にノアール。前方には夜空。






見事にどこを向いても美人だらけだ。






一体どこを向いて夕食を食べればいいのだろう。






どこか彼らの視界の入らない場所へ視線をやろうとあたりを見回すけれど、どこを向いても誰かしらが視界に入る。





となれば、後はここしかない。





味噌汁片手に、朔夜はくるりと後ろを向いて豆腐を一口運ぶ。





やっと落ち着いて食べられるとほっとした瞬間。







「……朔夜。お行儀が悪いわよ」

「どうしたんだ。いきなり。どこか具合でも悪いのかい?」

「やっぱり風邪でも引いたんじゃないの?」








母の怒気を孕んだ低い声音と、父と夜空の心配そうな声が背中にぶつけられる。






行動がおかしいことは自分でも承知の上だ。











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