闇夜に真紅の薔薇の咲く

瞳を伏せて、朔夜は扉の方へと向かった。




今日はもう疲れた。眠気はまだ感じていないものの、疲労の所為か妙に身体がだるい。




扉のノブに手をかけた朔夜は、背中に視線を感じて彼らに何も伝えていないことに気づき振り返る。




そこには訝しげに眉をひそめるノアールと、感情の読めない笑みを浮かべたルイがこちらを見ており、彼女は愛想笑いを浮かべて首を僅かに傾けた。






「今日は疲れたので、もう寝ます。お休みなさい。ルイさん。ノアールさん」





挨拶をすると、ドアノブを捻り部屋の外に出る。




扉を閉める時、ルイがにこやかに手を振っていて朔夜はぎこちない仕草で腕を曲げると、手を振りかえす。




自室に戻った朔夜は扉を閉めるなり明かりもつけず、扉に背を預け深いため息とともにずるずるとその場に座り込み膝を抱えて額を腕に押し付けた。