キミのとなり
次の日。
俺は朝練に参加しないで、屋上に向かった。
なぜかと言うと、佐倉遠馬に話をするため。
階段を駆け上がり、屋上の扉を勢いよく開けた。
「佐倉遠馬!」
「ん?なんや、近堂か。何のよう?」
俺は佐倉遠馬の目の前に行き、胸ぐらを掴んだ。
「エミがお前を好きになるってどーゆーこと?」
佐倉遠馬の顔を見たとたん怒りが増してきた。
「そのままの意味やで。…この際、言っとくよ」
佐倉遠馬はそう言って、ため息をついた
「俺はホッシーを本気で好きなわけちゃうんよ。ただ気に入った物が手に入らんと気がすまないだけや。俺は女なんかを好きにならねぇ」
エミを好きじゃない?
それを聞いた瞬間頭が爆発しそうになった。
顔が真っ赤なのは自分でもわかる。
エミが好きじゃないのに、付き合う?
エミを大切にしねぇやつにエミは渡さねぇ。
「エミが好きじゃないのに付き合う?笑わせんな。エミはお前を絶対好きにならねぇ。調子ぶっこいたこと言ってんじゃねぇよ。何があってもてめぇにだけはエミを渡さねぇ」
すると佐倉遠馬は笑い始めた。
「さぁ〜どーやろな?」
俺は、この怒りを我慢できそうになかった。
扉の方に足を進ませ、扉をおもいっきり閉めた。
屋上に続く階段を降りながら俺は涙を流した。
「…クッソぉ…」
右腕で頬に伝った涙を拭き呟いた。
「佐倉だけにはエミを渡すわけにはいかねぇ」