キミのとなり
「ぜってぇ、帰らねぇ!!」
一瞬体がビクッと動いた。
この声は…
佐倉遠馬?
壁に隠れてそっと覗いてみた。
そこには、携帯電話に向かって怒鳴っている佐倉遠馬がいた。
「そんなもん知らねぇよ!!」
そう言って、佐倉遠馬は携帯を壁に投げつけた。
見事に携帯は真っ二つ。
どんだけ力あるんだし。
私は「あ〜あ。もったいない。携帯、たかいんだよ?」と真っ二つになった携帯電話を拾いながら言った。
ふと、佐倉遠馬の顔を見た。
私は目を丸くした。
一瞬、佐倉遠馬の目から涙が落ちたように見えたから。
「泣いてるの?」
と聞いてみた。
「泣いてへんで」
佐倉遠馬は振り向いていった。
嘘だ。絶対嘘だ。
泣いてたもん。
「なんで泣いてるの?嘘つかないで」