キミのとなり


放課後、適当な理由をつけて部活を休んだ。


きっとあそこに行けば佐倉遠馬はいる。

そう思った。


なんであいつを探してるんだろう。


でも何故か勝手に体が動くんだ。


扉を静かに開けた。
夕方だからかな?風が冷たい気がする。


屋上の手すりに、寄りかかっている佐倉遠馬。

また携帯に怒鳴っている。

携帯、何個もってんの!?


私は壁のかげに隠れて様子を伺った。


なんかストーカーみたい笑

数分後、屋上の扉から誰かが出てきた。


「じいや!?」
と佐倉遠馬は驚いたように叫んだ。


屋上に来たのは黒いタキシード?スーツ?を着た、中年の男だった。


「お坊っちゃま、帰りましょう」
そう中年の男は言った。


お坊っちゃま!?
も、もしかしてあの男の人執事!?


いや…まさかね…笑


「いやや。なんで帰らなあかんねん。どうせお父さんに言われたんやろ!?迷惑やわ!!」


「帰らないといけません。はやく、こんな古い校舎から出てください」


こんな古い校舎だと!?
よくもこの校舎の悪口言ったな!!タキシード男めっ!

「古いとか言わんといて!!お父さんの都合で何回も転校したくあらへん!!俺はこの学校がいいんや!!転校なんていやや!!」

「お坊っちゃま…」


転校?
この学校に転校したばかりなのに?また転校?

お父さんの都合?

もしかして…佐倉遠馬って…

「いけません。佐倉家を継ぐのはお坊っちゃまなのですから仕方ないのですよ」

やっぱり!
佐倉遠馬はあの佐倉グループの息子だったんだ!!


佐倉グループはお金持ちで転々と県外にある会社を支えている。

「転校なんかしたくあらへん!!やめろやー!!」


タキシード男は佐倉遠馬を無理やり屋上から追い出そうとしている。


佐倉遠馬がこの学校を好きなら、こんなところで隠れているわけにはいかない!!

「…っちょっとまったぁ!!」

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