†ゆぅぱぱ。完結作品SS集†
嘘をついてでも、君と。*吉馬side
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「……いきなり何の連絡も無しに家に来るなよ」
ピーンポーン、と軽快なチャイム音が鳴ってから、すぐに出てきた皐は不機嫌そうで。
でもすぐに、はは、ごめん。と笑う俺を、驚いたように見上げた。
「吉馬……、何、その顔」
「んー、ちょっと……」
流石に調子に乗りすぎたみたい、と苦笑いすれば、はあ?と皐は眉を潜めた。
──いいからとりあえず入れば。と案内された皐の部屋は、相変わらず男の部屋とは思えない程綺麗に片付いていて。
「これ使え」とお茶と一緒に差し出されたのは、氷嚢だった。それを有り難く頬に当てる。
ジンジンと熱を持っていた頬の痛みが、少しだけ和らぐみたいだった。