†ゆぅぱぱ。完結作品SS集†
バシッ、と桃色の鞄を投げつけられて。
目の前の律希は、俯きながら唇を噛み締めて、震えていた。
「わざわざ別れ話するためにデートしようだなんて言ったわけ!?」
「ちょっと律希、待って……」
「私のこと、ずっと疲れるって思ってたんだ!?」
「律希、人の話を──」
「あんたなんてこっちから願い下げよバカ!」
大っきらい!と律希は叫ぶと、そのまま俺にビンタをかましてから、走り去っていって。
道行く人には憐れみの目を向けられるし。
叩かれた頬はジンジン痛むし。
──律希のこと、泣かせちゃうし。
「あー、最悪」
なーんで、こうなっちゃうんだか。
律希のこと好きになりすぎて、欲張りになった俺が悪いのかな。
◇◇◇
「それは吉馬が悪い」
「……やっぱり?」