†ゆぅぱぱ。完結作品SS集†





本当の事は言えなくて曖昧に言葉を濁す
と、ふーん、と萌は呟いて。「じゃあ彼
方でも誘おうかな」なんて言いながらケ
ータイをいじり出す。



……普通、聞くなら溝渕君が先じゃない
の?



溝渕君と萌は、1ヶ月くらい前から付き
合い始めてるそうで。萌はなんだかんだ
言って、とても幸せそう。



ケータイのディスプレイを見つめながら
上機嫌に鼻歌なんか歌っちゃってる萌に
クスッと笑ってから、鞄を肩にかけた。



よし、私も早く、会いに行こう。



「───失礼します…」



ガラガラと扉を開けると、鼻の奥を刺激
してくる、薬品の匂い。



そっと中を覗くと、ベッドに腰かけて、
既に香坂が待っていた。



ここは、保健室。



さっき香坂が見せたのは保健室の鍵で、
あれは、"放課後に保健室においで"って
合図。





< 145 / 172 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop