†ゆぅぱぱ。完結作品SS集†
本当の事は言えなくて曖昧に言葉を濁す
と、ふーん、と萌は呟いて。「じゃあ彼
方でも誘おうかな」なんて言いながらケ
ータイをいじり出す。
……普通、聞くなら溝渕君が先じゃない
の?
溝渕君と萌は、1ヶ月くらい前から付き
合い始めてるそうで。萌はなんだかんだ
言って、とても幸せそう。
ケータイのディスプレイを見つめながら
上機嫌に鼻歌なんか歌っちゃってる萌に
クスッと笑ってから、鞄を肩にかけた。
よし、私も早く、会いに行こう。
「───失礼します…」
ガラガラと扉を開けると、鼻の奥を刺激
してくる、薬品の匂い。
そっと中を覗くと、ベッドに腰かけて、
既に香坂が待っていた。
ここは、保健室。
さっき香坂が見せたのは保健室の鍵で、
あれは、"放課後に保健室においで"って
合図。