†ゆぅぱぱ。完結作品SS集†
だけど香坂はいつも意地悪で、私が言い
たいことをわかってるくせに、わざと言
わせようとしてくる。
「意地悪……」
「そんな上目遣いで見ても、妥協なんて
しないよ」
香坂を睨む私にそう言うと、香坂はその
長い指先を、私の唇に当てた。
そして、感触を確かめるように下唇をつ
つ、となぞっていく。
ゾクリとしたものが背中をかけ上って、
小さく身を震わせた。
「──ちゃんと、この口でおねだりしな
よ」
クスッと笑って、そう言う香坂。
私は、思わず俯いて、唇を噛んだ。
自分から、なんて。絶対に言えない。い
つもいつも香坂がリードしてくれてるか
ら、こういう時、どうすればいいのかわ
からなくなる。
「委員長?言わないんだったら、今日は
もう帰るけど」